AGIの到来に備えて──私たちが今準備すべきこと AGI(Artificial General Intelligence=汎用人工知能)はいつ来るのか。この問いが世界中で議論されている。しかし、私はこう考えている。「いつ来るか」を論じるよりも、「来たときに自分がどこに立っているか」の方が、はるかに重要ではないだろうか。 本稿では、AGIの現状認識を整理したうえで、到来までに私たち人間が準備しておくべきこと、心構えについて考えたい。 「機能的AGI」は、すでに始まっている AGIの一般的な定義は「人間と同等の幅広い認知能力を、自律的に発揮できる知能」とされている。自律的な目標設定、長期計画能力、現実世界での継続的な因果理解――これらを満たすAIはまだ存在しない。その意味で、厳密なAGIはまだ来ていない。 しかし、別の角度から見ると景色は変わる。 現在の大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)は、一般知識量でほぼ全人類の平均を超え、多分野横断能力では多くの専門家を上回り、情報統合の速度は圧倒的に速い。そしてAI単体ではなく「人間+AI」という系で考えれば、すでに多くの人間の能力を超えている。 つまり、社会的な影響という意味では「機能的AGI」はすでに到来しつつある。この認識が出発点になる。 推論の外部化という質的転換 歴史を振り返れば、人類は繰り返し知の外部化を行ってきた。印刷機による知の拡張、電卓による計算の外部化、インターネットによる記憶の外部化。そしてAIがもたらすのは「推論の外部化」である。 これは質的な転換だ。調べればわかることの価値は急速に失われ、残るのは統合する力、価値を判断する力、そして責任を引き受ける力である。 AGIが到来したとき、何が変わるのか AGI級のAIが実用化されると、大きく三つの変化が起きる。 第一に、 知的労働の価値が変わる 。多くの知識労働がコモディティ化し、「調べられること」だけでは差別化できなくなる。 第二に、 判断の速度が桁違いになる 。政策、金融、事業の意思決定にAIが深く組み込まれ、速度そのものが競争力になる。 第三に、 情報の非対称性が消滅する 。誰もが高度な情報にアクセスできるようになり、情報を持っているだけでは優位に立てなくなる。 今から備...
朝日センチュリーみずほ台住人の一人です。マンションのこと、町で見かけた自然など徒然に書いてゆきます。