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役所の沈黙はどこから来るか — AIを導入したわが町への、町民としての期待

今年の6月、私は三芳町にいくつかの連絡を送りました。生成AIの市民講座を開いてはどうかという提案。無許可とみられる廃品回収チラシについての情報提供。介護保険の申請案内についての意見。返ってきたものと、まだ返ってこないものがあります。はじめにお断りしておきますが、本稿は苦情として書くものではありません。誰か特定の職員や部署の対応を責めるためのものでもありません。事実を記録し、その背後にある「仕組み」を考え、生成AIを導入したわが町に、これからの役場のかたちを一人の町民として期待するために書くものです。

一、三つの連絡と、その行方

時系列で整理します。

一つ目は、6月8日に町長と教育委員会宛てに送った提案書です。町は2025年夏、行政向けの生成AIサービス「exaBase 生成AI for 自治体」を導入しました。行政専用ネットワークLGWAN(Local Government Wide Area Network)に対応し、文書作成を助けるプロンプトの整備から職員研修までを含む運用パッケージです。職員が業務でAIを使える環境が整っているのなら、その学びの機会を住民の側にも──とりわけ、この技術変化から取り残されやすいシニア世代に──届けてほしい。公民館などでの少人数の体験講座を提案し、企画案や他自治体の事例資料はこちらで用意できると書き添えました。これには23日後の7月1日、町長名義の回答が届きました。内容は後述します。

二つ目は、廃品回収チラシの件です。6月中旬、法令上の許可が確認できない業者のチラシが集合住宅に投函されていることを環境課にお知らせしたところ、「トラブルにつながる危険性が非常に高い」との回答をいただきました。的確なご対応でした。ところが6月23日、別の業者による同種のチラシが再び投函されました。今度は古物商許可証の番号が刷り込まれるなど、一見それらしく見える体裁です(古物商の許可と、家庭ごみを収集運搬できる許可とは、まったく別の制度です)。そこで第2報として経緯を報告し、広報などを通じた住民全体への注意喚起をご検討いただけないかとお願いしました。この第2報には、本稿執筆時点で9日間、お返事がありません。

三つ目は、介護保険の申請案内です。町のホームページの申請書がWord・Excel形式のみで扱いにくいと意見を送ったところ、担当課からご回答をいただき、しかも数日のうちにPDF形式の申請書がホームページに追加されていました。意見が実際の改善につながる、この対応の速さと誠実さは、まず記録しておきたいと思います。あわせて回答では、国のマイナポータルを通じた介護保険のオンライン申請がすでに可能であることも教えていただきました。私はこの回答に感謝を伝えたうえで、一点だけ追加のお願いをしました。当のホームページには、オンライン申請の説明もリンクも見当たらず、「新規申請は、窓口での申請のみ」という記載が残っています。これでは、せっかくの仕組みがどの手続きで使えるのか、住民には判断できません。案内の掲載と記載の見直しをご検討いただけないか──という内容です。この6月24日の連絡には、8日間、お返事がありません。

二、届いた回答 ── 「ぜひ」という言葉

一つ目の提案に届いた回答は、A4一枚でした。要旨を私の言葉でまとめます。

・生成AIの普及は目ざましく、生活全般に必要不可欠なツールだと認識している。

・公民館では令和6年度から「初心者のためのスマホ教室」を実施しており、受講者の大部分はスマホの使用に不安を抱える高齢者。その「次のステップとして、ぜひ生成AIの活用を題材としたい」。

・60歳以上を対象とした継続事業「高齢大学」でも、今後、生成AI講座の検討をしていきたい。今年度はすでに開講し、年間カリキュラムも決定している。

「ぜひ題材としたい」。役所の文書で「検討します」より一歩踏み込んだこの言葉が、町長名義の公文書に記されたことを、私は前向きに受け止めています。既存のスマホ教室の受講者層は、まさに私が講座を届けたいと考えた方々と重なります。土台は、すでにあるのです。

一方で、回答に含まれていなかったことも、記録のために挙げておきます。町自身がexaBaseを導入しているという、提案の前提への言及。そして実施時期の見通しです。これらは批判のために挙げるのではありません。この話を来年度に向けて具体化するとき、必ず必要になる論点だからです。

三、返信のない8日間と9日間

さて、本稿の主題はここからです。二つ目と三つ目の連絡には、まだ返信がありません。

最初に確認しておきたいのは、町が住民の連絡を無視しているのではない、ということです。環境課は第1報にきちんと回答しました。介護保険の担当課は回答のうえ、ホームページの改善まで実行しました。連絡は読まれ、町は動いてもいる。この事実があるからこそ、続報への沈黙は、誰かの「意思」ではなく、行政事務の「仕組み」から生まれているのだと私は考えています。

返信が止まっている二件には、共通点があります。どちらも、一度回答が出て完結したはずの案件への、続報や追加のお願いなのです。役所の事務は伝統的に、受付・起案・決裁・回答という一つの往復を単位として設計されています。回答を出した時点で、その案件は「処理済み」になる。そこへ届く二通目は、新しい案件として起こし直すのか、済んだ案件を開き直すのか、位置づけが宙に浮きます。無視されたのではなく、行き場を失って滞留している──それが実態に近いのではないでしょうか。

もう一つの要因は、返信一通の重さの違いです。住民がメールを一本書くのは十分ほどのことですが、役所が公式の回答を出すには、起案し、係内で確認し、決裁を受けるという手続きが要ります。広報での注意喚起のように複数の部署にまたがるお願いであれば、庁内の調整も必要になるでしょう。調整には時間がかかる。そして役所の文書文化には、「ただいま調整中です」という中間報告を出す習慣が、もともと薄いのです。結果として、調整の時間はそのまま、住民から見た沈黙の時間になります。

これを職員の怠慢と呼ぶのは簡単です。しかし私は、そうは考えていません。職員の皆さんもまた、この一往復完結型の仕組みの中で、決められた手続きに従って働いておられる。問題は人ではなく、設計にあります。ただし、設計の問題であっても、その間のコストを負うのは住民の側です。チラシの件では、注意喚起が届かないまま業者の告知した回収日が過ぎました。介護保険のページの記載が今のままなら、オンラインで済むはずの手続きのために、介護を担うご家族──移動の負担がもっとも重い方々──が窓口へ足を運び続けることになります。

四、AIは、この沈黙を映す鏡である

ここで、話は一つ目の提案とつながります。町が導入したexaBaseは、文書の下書きなら数十秒で仕上げる道具です。それでも、住民への回答には23日かかり、続報への返信は止まる。時間を要しているのはAIではなく、人間の側の手続きと、その手続きを支える「常識」だからです。

道具がどれほど速くなっても、仕事の設計と組織の常識が変わらなければ、住民に届くサービスは速くならない。

これは三芳町だけの話ではありません。全国の自治体で生成AIの導入が進むいま、どこの役場もこの同じ問いの前に立っています。導入で終わるのか、住民の実感が変わるところまで行くのか。その分かれ目を、私はいま自分の町で見ているのだと思っています。

五、AI時代の役場に、町民として期待すること

では、何が変わればよいのか。特別なことではありません。順に挙げます。

第一に、受付の確認です。住民からの連絡に対し、「受け付けました。担当は○○課です。回答の目安は○日ほどです」という一報が自動で返る。これだけで、住民は闇に向かって話している感覚から解放されます。技術的には生成AI以前の、メールの設定でできることです。

第二に、中間報告の習慣です。庁内の調整に時間がかかるのなら、「関係部署と調整中です。今しばらくお待ちください」の二行を送ればよい。この二行の下書きこそ、exaBaseが数秒で果たせる仕事です。AIは、立派な回答文を飾るためではなく、こうした小さな応答の負担を職員からなくすためにこそ使えるはずです。

第三に、「完結」の考え方の更新です。住民とのやり取りは一往復で終わるとは限りません。回答への返信や続報までを一つの対話として扱う事務の設計に変われば、二通目が宙に浮くことはなくなります。

そして第四に、発想の転換です。住民からの指摘や提案は、処理すべき負担ではなく、町が無償で受け取っている点検報告です。介護保険のページの件がまさにそうでした。住民が使って、気づいて、知らせる。役場が直す。この循環が速く回る町は、それだけ住みやすい町になります。

道具は、もう役場の中にあります。職員研修も運用支援も込みのパッケージです。足りないのは道具ではなく、道具を活かす仕事の設計と、応答についての新しい常識──私はそう考えています。そしてこれは、職員の皆さんの負担を増やす話ではなく、減らす話のはずです。

私は町民の一人として、三芳町がこの転換を成し遂げることを強く期待しています。期待するだけではありません。実現へ向かう道筋が示され、着実に歩みが進むことを、これからも町民として見届け、求めていきます。そして、生成AI講座の提案時に申し上げた協力のお申し出は、いまも変わらず有効です。町の検討がはじまるなら、企画案でも事例集でも、喜んでお持ちします。

六、定点観測として

本稿は、記録であると同時に、定点観測の起点です。見守りたい点を書き留めておきます。令和9年度の公民館事業「スマホ教室」と「高齢大学」のカリキュラムに、生成AIの講座は載るか。「ぜひ題材としたい」という公文書の言葉は、かたちになるか。そして、返信を待っている二件の連絡に、お返事は届くか。

一年後、この記事の続きを書きます。そのとき、「わが町はここまで変わった」と報告できることを、心から願っています。

【経緯の記録】

・生成AI市民講座の提案書提出:2026年(令和8年)6月8日。宛先は三芳町長および教育委員会生涯学習担当課。回答の受領は同年7月1日付「町長への手紙(回答)」、三芳町長名義(担当:社会教育課)。

・廃品回収チラシの情報提供:第1報は6月中旬(環境課より回答受領)。第2報は6月23日送付、7月2日現在、回答待ち。

・介護保険申請案内への意見:担当課より回答受領、申請書のPDF掲載を確認(この改善対応に感謝します)。オンライン申請の案内掲載に関する追加のお願いは6月24日送付、7月2日現在、回答待ち。

・参考:「exaBase 生成AI for 自治体運用パッケージ」の三芳町への提供開始は2025年7月、提供元企業のプレスリリースにより発表。


[]このブログの記述は全て「最新のAIモデル」と協働して作成しています。

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