広報にこのような記載がありました。素直に「それはイイね!」とは言えません。考えてみました。多く人が考えるべき案件だと思います。
「バリアフリーを“正義の免罪符”にしない:5,000万円スロープの教訓と、階段昇降機検討の最低条件」
はじめに:反対ではなく、要件定義の話です。
検証・見積・運用設計・費用対効果
マンションのバリアフリー施策は重要です。しかし「福祉のため」「弱者のため」「高齢者のためなら」という言葉が、マンションのバリアフリー施策は重要です。しかし「福祉のため」「弱者のため」「高齢者のためなら」という言葉が、を省略する免罪符になった瞬間、住民の安全と資産価値を損ねるかもしれません。
本稿は、このマンションで実際に起きた「車椅子スロープ工事(約5,000万円弱)」の事例と、現在検討が持ち上がっている「管理棟2階の集会室への階段昇降機」要望を比較し、意思決定の最低条件を整理するものです。
(英語で言うなら Accessibility vs Accountability。「アクセシビリティ」と「説明責任」は両立させるべき、という立場です。)
1. 事例:5,000万円弱の車椅子スロープが残したもの
当マンションでは一昨年、車椅子スロープ工事として約5,000万円弱が支出されました。しかし、勾配基準に違反しており安全な車椅子利用は困難で、結果として「介助者二人が必要」等の注意看板が設置された。その看板費用だけで約170万円余りが使われている。(車椅子でスロープを通るときは、頑健な介助者が二人必要だと看板を掲げたのです!しかも、各スロープに2枚ずつもです。)
(202年9月21日 提出資料) ⚠️ 危険なスロープ工事…
ここで重要なのは「意図」ではなく「成果」です。
車椅子での実利用が生じていない(少なくとも観察されない)
危険性が残り、事故時の責任が管理組合(=区分所有者全員)に跳ね返る懸念
巨額支出が、修繕積立等の近い将来必要な資金を毀損
2. 技術論点:勾配基準は“数値”で押さえる
議論が感情論に流れると、検証が止まります。従って最低限、基準は数字で押さえなければなりません。
国交省の「建築物移動等円滑化基準チェックリスト」では、傾斜路について 勾配1/12以下(高さ16cm以下の場合は1/8以下) といった要件が示されている。MLIT
本稿の立場は単純である:
違反かどうかを断定する前に、第三者が勾配を測定し、図面・仕様・施工を確認すべき
危険性があるなら、放置せず是正計画を作るべき
なお、工作物の設置・保存に瑕疵があって損害が生じた場合の責任を定める規定として、民法717条がある(条文はe-Gov参照)。 e-Gov Law Search
※ここでは法的評価の断定が目的ではありません。「放置が合理的でない」ことを示すために触れています。
3. 新規論点:2階集会室への階段昇降機要望をどう扱うか
現在、2階集会室へのアクセス補助として、管理費(積立金)で階段昇降機を設置してほしいという要望があるとのこと。
階段昇降機を集会室に設置すべきか?
しかし、当マンションの状況では次の前提を外すと破綻する。
3-1. 実需が薄い可能性
私の個人的観察では、車椅子スロープ同様「要望は出るが実利用は生じない」可能性が高い。
(2025年9月21日 提出資料) ⚠️ 危険なスロープ工事…
要望者が“気軽に言っているだけ”である可能性を排除できない。要件定義(誰が、どれくらい使うか)を先に確定することが必要と考えます。
3-2. 財政が逼迫している
マンションは定期的な大規模修繕が不可欠で、当マンションは現時点で予算不足のため期限を2年延ばすという判断をしていると聞きます。現在のインフレと工事費高騰が続けば、延期2年で済まない可能性は極めて濃厚です。定められた期間内に大規模修繕ができなければ、マンションの資産価値の低下を招くことは必定です。その他、多様な問題が発生すると思います。適切な時期に適切な大規模修繕を施すことは何をおいても実施しなければならない要件です。
階段昇降機を集会室に設置すべきか?
この状況で管理費から新たな固定費(保守等)を増やすのは、住民全体の安全・資産をリスクに晒す可能性があります。
4. 現地条件:階段だけでは解決しない「3つの段差」
現地写真から、動線上のバリアは少なくとも3箇所あります。
入口側:2段の上り段差
主階段:直線13段(幅 約140cm)
上階側:集会室へ向かう動線上に約15cmの段差(黄色ライン)
したがって、仮に主階段に直線いす式昇降機を付けても、
入口2段を上がれない人
上階側15cm段差を越えられない人
集会室へ到達できません。
結局、対象者は「車椅子ではない/移乗ができる/15cm程度は何とかなるが13段が厳しい」という限定された層になります。
この限定条件を隠したまま「福祉」として、「要望がある」として一般化してしまうと、車椅子スロープと同じ失敗になります。
5. 発注・ガバナンス:利益相反と相見積は“手続”の問題
過去のスロープ工事では、巨額支出にもかかわらず成果が出ていません。ここから導かれる教訓は、「誰かを責める」ことではなく、発注と説明の手続を固定することです。
国交省資料(マンション管理法施行規則の改正に関する説明)では、管理業者(管理会社)が管理者として利益相反のおそれのある取引を行う場合、取引前の説明事項として「取引金額、積算根拠、相見積を行った場合はその内容、行わなかった場合はその理由等」を含めることが示されています。MLIT
マンションの実務では、この方向性を“最低限の内規”として取り込むべきです。
3社相見積(同条件で)→ 車椅子スロープ工事では相見積りがありませんでしたね?
付帯費(電源・手すり移設・看板等)を含む総額比較
10年の保守費込み(LCC:Life Cycle Cost)の比較
設置後の評価(利用実績・安全性)
6. 結論:真の福祉は「持続可能性」とセットである
「福祉のためだから反対できない」という空気は、短期的には善意に見えます。
しかし、修繕積立を毀損し、危険な設備を残し、将来事故や値上げを招けば、それは福祉ではありません。
私からの提案は明確です:
- 階段昇降機は“設置の是非”から入らず、要件定義→実測→相見積→運用設計→代替案比較を経て判断すべきです。
- 不足してしまった大規模修繕積立金の件を最優先事項として考えることは必須です。
- (車椅子用とされる)スロープは、第三者測定と評価で「危険の有無」を確定し、是正計画を作る(放置しない記録を残す)ことがこれまた必須です。
参考資料:

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