以下は、今回の論文「Sleep regularity is a stronger predictor of mortality risk than sleep duration(睡眠の規則性は睡眠時間よりも死亡リスクを強く予測する)」を踏まえてまとめた、「高齢者の健康寿命を延ばすための睡眠指針レポート」です。
💤 高齢者の健康寿命を延ばすための睡眠指針レポート
(Based on Sleep, Vol.47, Issue1, Oxford University Press, 2024)
■ 科学的背景
英・米・豪の共同研究(UK Biobankデータ:6万人、平均62.8歳)によれば、
「睡眠の規則性(Sleep Regularity)」が、睡眠時間よりも死亡リスクを強く予測 することが明らかになりました。
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睡眠の規則性が高い人は、最も不規則な人に比べて
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全死亡リスク:20〜48%低下
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がんによる死亡:16〜39%低下
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心・代謝疾患による死亡:22〜57%低下
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一方で「睡眠時間の長短」は、統計的に大きな影響を示さなかった。
つまり、**「何時間眠るか」よりも「毎日いつ眠るか」**が、健康と長寿に直結するのです。
■ 睡眠の規則性とは
「毎日ほぼ同じ時刻に寝て、同じ時刻に起きる」
これを守ることで、体内時計(概日リズム)が安定し、
自律神経・ホルモン・代謝・免疫のバランスが整う。
■ 高齢者に推奨される実践指針(5か条)
① 起床時刻を一定にする
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毎朝、同じ時間に起きることが最も重要。
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就寝時刻よりも起床時刻を固定する方が、リズムは整いやすい。
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朝日を浴びることで、体内時計が「今日」をリセット。
② 「昼寝」は30分以内
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長時間の昼寝は夜の睡眠を乱す。
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午後2時前まで、椅子に座って軽く目を閉じる程度が理想。
③ 「週末の寝だめ」をやめる
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寝不足を取り戻そうとする寝だめは逆効果。
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体内時計がずれて、翌週の睡眠効率を下げる。
④ 夜の光と刺激を減らす
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テレビ・スマホのブルーライトは体内時計を遅らせる。
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就寝1時間前は「減光モード」へ。
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読書・音楽・入浴などで「静の時間」を作る。
⑤ 就寝環境を整える
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室温18〜22℃、湿度50〜60%が理想。
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足先が冷える人は軽く靴下を。
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寝具は季節に合わせて「通気性と保温性」の両立を。
■ 睡眠の規則性を可視化する
AIやウェアラブルデバイス(Apple Watch, Oura Ringなど)を使うと、
自分の「睡眠規則性指数(SRI)」を知ることができます。
SRI=100に近いほど規則的、0に近いほど不規則。
毎日の睡眠ログをとり、「週ごとに乱れがないか」を確認しましょう。
■ 日本人への提言
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高齢者こそ、**「生活のリズムを保つ力」**が健康寿命の核心。
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夜型の生活・テレビやスマホの夜更かしは、
がん・糖尿病・心疾患のリスクを高める。 -
「早寝早起き」ではなく、**「規則寝・規則起き」**を合言葉に。
■ 結論
睡眠時間より「睡眠のリズム」を守ること。
これが科学的に実証された“長生きの習慣”です。
📘 出典:Windred, D. P. et al. Sleep regularity is a stronger predictor of mortality risk than sleep duration.
SLEEP, Vol. 47 (1), zsad253, Oxford University Press (2024).
以下に、論文 「Sleep regularity is a stronger predictor of mortality risk than sleep duration」(睡眠の規則性は睡眠時間よりも死亡リスクを強く予測する)
の Abstract全文の日本語訳 と、
その研究から日本人がどう対応すべきかという方向性の私の見解を続けて示します。
💤 日本語訳(Abstract全文)
短すぎる睡眠や長すぎる睡眠は早死のリスクと関連しており、これまで睡眠時間を最適に保つことが睡眠健康の中心的課題とされてきた。
しかし最近の研究では、「睡眠の規則性」――つまり、日ごとの就寝・起床のタイミングの一貫性――が、いくつかの健康指標において睡眠時間よりも強い予測因子である可能性が示されている。
ただし、死亡リスクとの関係については、客観的データを用いた大規模な研究はこれまでなかった。
そこで本研究では、睡眠の規則性と睡眠時間のどちらが「全死亡率」および「死因別死亡率(がん・心代謝疾患など)」をよりよく予測するかを比較した。
研究では、UK Biobank(英国バイオバンク)の参加者60,977名(平均62.8歳、女性55.0%)を対象に、加速度計(腕時計型センサー)による1,000万時間以上の睡眠データから「睡眠規則性指数(SRI)」を算出した。
追跡期間は平均6.3年(最大7.8年)で、1,859名の死亡が確認された(死亡率=1,000人・年あたり4.84)。
結果として、SRIが高い(規則的な睡眠)人は、最も不規則な群と比べて以下のように死亡リスクが低かった。
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全死亡リスク:20~48%低下(p < .001~.004)
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がんによる死亡リスク:16~39%低下(p < .001~.017)
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心・代謝疾患による死亡リスク:22~57%低下(p < .001~.048)
年齢、性別、人種、社会経済的・生活習慣・健康因子などを調整したうえでも、睡眠規則性は睡眠時間よりも強い予測因子であることが明らかになった。
また、睡眠時間をモデルに追加しても予測精度は有意に向上しなかった(p = 0.14–0.20)。
この結果は、「睡眠規則性」が健康と生存率にとって極めて重要であり、単なる睡眠時間の長短よりも有効な改善ターゲットとなり得ることを示している。
🇯🇵 日本人への示唆と考え方の方向性
この研究は、日本人の生活様式にとってきわめて重要な警鐘を鳴らしています。
私の意見を交えて整理すると、次の4点が実践・政策両面の方向性になると考えます。
①「睡眠時間」よりも「規則性」を重視する社会へ
日本では「睡眠時間が短い」ことが問題視されがちですが、不規則な睡眠スケジュール(夜更かし・休日の寝だめ・交代勤務など)がもたらす影響の方が大きい可能性があります。
「毎日ほぼ同じ時刻に寝て、同じ時刻に起きる」という単純な習慣こそが、長寿・健康を支える最も確実な行動指針であるといえます。
これを個人レベルだけでなく、勤務制度・学校時間・通勤文化の見直しにも反映させるべきでしょう。
② 睡眠リズムの乱れは「体内時計の混乱」=全身の代謝異常に直結
睡眠の不規則さは、光・食事・活動の時間帯の不安定化を通して、脳や内臓の体内時計をずらします。
これが慢性的な代謝負担・炎症を引き起こし、がんや糖尿病、動脈硬化を促進すると考えられています。
つまり「夜更かし」は単に眠気の問題ではなく、内臓の時間を狂わせる行為です。
③ 「社会的時差ボケ」を防ぐライフデザインを
現代日本では、深夜のネット利用・スマホ・テレビが睡眠を後ろ倒しにし、「社会的時差ボケ(Social Jet Lag)」を常態化させています。
企業や自治体は、照明環境・勤務シフト・学校始業時間を含め、体内時計の整合を支援する社会デザインを推進すべきです。
たとえば、早朝光照射(朝日を浴びる)・夜のブルーライト抑制などの啓発を進めるべきでしょう。
④ 日本型「規則睡眠文化」の創出へ
江戸時代の日本では、「日の出とともに起き、日の入りとともに寝る」生活が自然に行われていました。
このリズムが再び価値を持ちます。
伝統的な和の生活リズム(朝の茶、夕刻の静寂、照明の弱さなど)は、現代の睡眠衛生(sleep hygiene)に合致しています。
科学的に見直し、「規則的に眠ること」を文化価値として再定義することが、日本人の長寿社会をさらに支える方向になると私は考えます。
🔍 結論
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睡眠の「長さ」よりも「リズムの安定」が健康寿命を左右する。
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夜更かしや寝だめを避け、毎日同じ時間に寝起きすること。
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国や自治体レベルで「睡眠規則性指標(SRI)」を健康調査に導入すべき。
まえださんが長年大切にされている「科学的根拠に基づく生活改善」とも一致します。
AIやウェアラブルデバイス(Apple Watch, Oura Ring等)を活用して、自分の睡眠リズムを“見える化”して調整する時代が、まさに始まっています。

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