1 これは私個人だけの問題ではありません
今回、私は、現在有効な管理規約・使用細則および第37期通常総会資料の写し交付を、理事長宛に文書でお願いしました。
規約原本の保管および閲覧対応は理事長の職責とされており、少なくとも閲覧対応そのものは理事会決議を待つ性質のものではありません。
ところが、その後に出てきたのは、理事長または管理組合からの個別の文書回答ではありませんでした。
管理室の窓ガラスに、管理組合名義の貼り紙が掲示され、管理室の担当者から「これが回答です」と告げられました。
私は、この対応は管理組合運営としてあり得ないと考えます。
管理室の窓ガラスに貼り紙を出すことは、一般的な周知にはなり得ます。しかし、理事長宛に提出された個別・正式な文書請求に対する回答にはなりません。
個別請求に対しては、理事長または管理組合として、文書またはメールで個別に回答すべきです。(言うまでもないことです!)
これは、私一人の問題ではありません。今回たまたま私が請求しましたが、他の住民が同じように管理規約や総会資料を確認したいと申し出た場合にも、同じように窓ガラスの貼り紙で済ませるという対応が行われるなら、それは到底容認できません。
そのような対応が行われるマンションだと購入検討者が知った場合、そのマンションを敬遠する可能性が高まります。管理組合の透明性や資料管理の姿勢は、住まいとしての信頼性に関わります。結果として、私たちのマンションの資産価値にも悪影響を及ぼしかねません。
管理規約や総会議事録、総会資料は、管理組合の基本資料です。住民を拘束し、管理組合の意思決定を示す重要な文書です。その確認方法を、管理会社や管理室の口頭対応だけで曖昧に扱ってよいはずがありません。
2 住民はステークホルダーです
このマンションの住民、区分所有者は、管理規約・使用細則・総会決議に拘束される当事者です。つまり、明確なステークホルダーです。
一方、管理会社である朝日管理株式会社の社員は、管理業務を受託している事業者側の人です。もちろん、管理会社には業務上の役割があります。しかし、住民と同じ意味でこのマンションの規約に拘束されて生活している当事者ではありません。
この区別は非常に重要です。
管理会社は、管理組合の補助者であり、助言者であり、実務の受託者です。管理組合そのものではありません。まして、住民が管理規約や総会資料を確認したいという要請に対して、管理会社が閉ざす方向へ誘導することは、本来の役割から外れています。
管理会社の役割は、理事会を情報非開示の方向へ導くことではなく、法令・規約に沿って、区分所有者に対して説明可能な運用を整えることにあります。
3 「閲覧」と書かれていることは、「コピー禁止」「撮影禁止」「PDF提供禁止」を意味しません
管理規約には、規約原本について、区分所有者または利害関係人から書面による請求があったときは、理事長がこれを閲覧させなければならない、という趣旨の規定があります。
総会議事録についても、同様に、書面による請求があったときは閲覧させなければならないとされています。
ここで重要なのは、この規定は「閲覧させなければならない」という義務を定めたものだということです。
つまり、住民や利害関係人が、規約や議事録を確認できるようにするための規定です。
ところが、今回の貼り紙では、「コピー・撮影はできません」とされています。
しかし、「コピー・撮影はできません」については、管理規約の該当条文から導かれるものではありません。
窓ガラスへの貼り紙の記述内容は、管理規約の趣旨を大きく取り違えていると考えます。管理規約や総会議事録、総会資料は、住民その他の関係者が必要に応じて容易に確認できる状態に置かれるべき基本資料です。
理事長および理事会は、これらの資料を閉ざす側に立つのではなく、区分所有者や関係者が適切に確認できるよう支援する立場にあります。それは単なる好意ではなく、管理組合運営の透明性を確保するうえでの重要な責務の一つです。
とくに管理規約および使用細則は、区分所有者に遵守義務を課す文書です。遵守を求める以上、区分所有者が自宅などでいつでも確認できる形で保持できるようにすることは、管理組合として当然の運用であると考えます。
4 「閲覧のみ」という運用は、住民にとって実質的に不便です
管理規約や使用細則は、数分間その場で見るだけで理解できるような文書ではありません。
管理費、修繕積立金、共用部分の利用、専有部分の扱い、役員、総会、理事会、議事録、会計、使用細則など、日常生活と資産管理に関わる内容が含まれています。
住民は、必要なときに自宅で確認できなければなりません。家族と確認することもあります。過去の総会資料や議事録と照合することもあります。問題が起きたときに、該当条文を探す必要もあります。
そのような文書を「管理室で閲覧のみ」「コピー不可」「撮影不可」「PDF不可」とすることは、実質的に住民が規約を確認しにくい状態を作ることになります。
これは、管理組合の透明性を高める運用ではありません。むしろ、住民から基本資料を遠ざける運用です。
5 管理会社の今回の対応について
今回の件では、管理会社が、理事会および理事長に対して、「規約・総会議事録は閲覧のみであり、コピー・撮影・PDF提供は認めない」という運用を指導していることが、管理室での説明および掲示により明らかになりました。
一見すると、これは理事会や理事長を守るための慎重な対応に見えるかもしれません。しかし、私はむしろ逆に、理事会を危うい立場に置く対応ではないかと感じています。
なぜなら、区分所有法上も管理規約上も、管理規約や総会議事録については、区分所有者または利害関係人からの請求があった場合、閲覧対応が必要とされているからです。にもかかわらず、住民からの正式な請求に対して、必要以上に閉じた対応を取れば、理事長や理事会は「情報を出さない管理組合」と受け取られかねません。
もちろん、規約や議事録について、個人情報や原本保護への配慮が必要な場合はあります。その点を無視して、無制限に何でも配布すべきだと言っているわけではありません。
しかし、本来、管理会社が助言すべき内容は、次のようなものだったはずです。
管理規約および総会議事録については、閲覧請求に適切に応じる必要があります。
管理規約のコピー交付やPDF提供については、可能な範囲で、かつ迅速に対応すべきです。とくに、管理規約および使用細則は、区分所有者に遵守義務を課す文書です。遵守を求める以上、区分所有者がいつでも確認できる形で自宅などに保持できるようにするのは、管理組合として当然の運用です。
少なくとも、区分所有者本人に対して、現在有効な管理規約および使用細則をPDF等で提供することは、管理組合の透明性を高める合理的な対応です。
総会議事録についても、必要に応じて個人情報部分を除くなどの配慮をしたうえで、閲覧方法、写しの交付、電子データ提供の可否を整理して対応すべきです。
管理会社の役割は、理事会を情報非開示の方向へ導くことではなく、法令・規約に沿って、区分所有者に対して説明可能な運用を整えることにあります。
「閲覧」と書かれていることを理由に、コピー・撮影・PDF提供を一律に禁止するという運用は、少なくとも管理規約の文言から導かれるものではありません。むしろ、住民を拘束する基本資料である以上、管理組合は、区分所有者が内容を確認しやすい形で提供する方向で運用すべきだと考えます。
6 理事長・理事会の責任は消えません
今回の貼り紙は、管理会社が作成したものと聞いています。
しかし、管理組合名義で掲示されている以上、その内容についての責任は、最終的には理事長および理事会にあります。
管理会社が作ったから理事会には責任がない、ということにはなりません。
理事長宛に提出された文書請求に対して、理事長名または管理組合名で個別の文書回答をせず、管理会社が作成した貼り紙を窓ガラスに掲示し、管理員が「これが回答です」と告げる。このような対応は、管理組合の文書対応としてあり得ません。
理事長・理事会は、管理会社の言いなりになるのではなく、管理組合の代表・執行機関として、住民に対して説明できる判断を行う必要があります。
7 今後求めたいこと
私は、今回の件について、管理組合および理事長に対して、次の点を明確に求めたいと考えています。
第一に、窓ガラスへの貼り紙および管理員からの口頭説明ではなく、理事長または管理組合として、文書またはメールで正式に回答すること。
第二に、理事会・理事長が「コピー・撮影・PDF提供はできません」とするのであれば、その根拠を、管理規約、使用細則、総会決議、理事会決議、法令のいずれに基づくものなのか、具体的に示すこと。
第三に、現在有効な管理規約および使用細則については、区分所有者本人に対して、紙の写しまたはPDF等の電子データで提供する方向に改めること。
第四に、総会議事録や総会資料についても、個人情報等への配慮が必要な場合には必要な処理を行ったうえで、閲覧、写し交付、電子データ提供の運用を整理すること。
第五に、今後、区分所有者からの正式な文書請求に対しては、管理員の口頭説明や掲示だけで済ませず、理事長または管理組合として文書で回答する運用を確立すること。
8 管理組合の資料は、住民から遠ざけるものではありません
管理規約は、住民を拘束する文書です。使用細則も同じです。総会議事録や総会資料は、管理組合の意思決定と運営内容を示す重要な文書です。
これらは、住民から遠ざける資料ではありません。
住民が必要に応じて確認し、保持し、後から読み返せる状態にすることこそ、管理組合の健全な運営に必要です。
管理組合の透明性は、難しい理念ではありません。
住民が知るべき資料を、住民がきちんと確認できるようにすること。
住民からの正式な要請に対して、理事長または管理組合としてきちんと文書で回答すること。
管理会社が住民の情報アクセスを閉ざす方向ではなく、説明可能で開かれた運用を支援すること。
これらは、管理組合運営の基本です。
今回の対応は、その基本から大きく外れていると私は考えます。
この件は、私個人の要望に対する回答の問題にとどまりません。今後、他の住民が同じように管理規約や総会資料を確認したいと考えたとき、管理組合がどのように対応するのかという、マンション全体の問題です。
だからこそ、今回の対応を曖昧に済ませることはできません。


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