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「倒れたら頼もう」は通用しない――三芳町の高齢者配食サービスと、13日かかった一通の返信

はじめに――「もしも私が動けなくなったら」

妻が要介護の認定を受けました。いま、家のことはさまざま私が回しています。

そうなると、どうしても考えてしまうのが「もし私が体調を崩して台所に立てなくなったら、食事はどうなるのか」という問題です。介護する側が倒れたときの備えは、介護を受ける人の備えと同じくらい大切です。

調べてみると、三芳町には「高齢者の配食サービス」という制度がありました。今回はこの制度の紹介を中心に、利用登録について町に問い合わせたやり取りと、そこで感じたことを書いておきます。

三芳町「高齢者の配食サービス」とは

町のホームページによると、制度の概要は次のとおりです[1]。

対象65歳以上のひとり暮らしの方/65歳以上の高齢者のみの世帯/日中、高齢者のみになる世帯の高齢者
内容町の委託業者が昼食を自宅に届ける(原則、本人に手渡し)
回数週3回まで(4回目以降は自費で利用可)
町の補助1食につき300円(業者へ直接支払われる)。これを超える分が自己負担
安否確認配達時に安否確認を行う
手続き「三芳町配食サービス事業利用登録申請書」を福祉課へ提出

この制度の良さは、食事と見守りが一体になっている点です。毎回人の手で届けられるので、「今日も元気か」を誰かが確認してくれる。高齢者だけの世帯にとって、これは弁当代以上の価値があります。

委託業者3社――連絡先・自己負担・支払方法

委託業者と価格は、町が公開している価格表(PDF)に載っています[2]。ところがこのPDF、正直に言って非常に読みにくい作りです。

ファイルの情報を見ると、Excelで作った表をそのままPDFに書き出したものでした。A4縦1枚に3社分の表を詰め込み、文字は小さく、配達の曜日や注文の締切、中止の連絡期限といった大事な条件は、表の右端の細い欄に「★」付きの小さな注記として押し込まれています。数字は全角と半角が混在し、社名の一部は半角カナです。スマートフォンで開けば、指で拡大しては横にずらす作業の繰り返しになります。

見る人が高齢者であることを考えれば、これは「公開した」ことにはなっても「伝わる」状態とは言えません。紙に印刷して配る資料の発想のまま、Webに置いているのだと思います。

そこで、各社の公式サイトの情報も加えて、スマホで読みやすいWebページにまとめ直しました。(最後段)自己負担額を大きく示し、電話番号はタップすればそのまま発信できるようにしています。下の「委託業者・価格一覧」をご覧ください。

業者電話自己負担(普通食の例)支払方法
ワタミの宅食 埼玉ふじみ営業所(三芳町竹間沢)0120-321-510まごころ御膳 430円町の配食サービス利用時は現金のみ[3]
宅配クック123 ふじみ店(富士見市)049-268-1123普通食セット 348円現金(毎回・まとめ)、振込、口座振替(一部店舗)[4]
ライフデリ 所沢店(所沢市)0120-900-967普通食セット 348円月末まとめ現金、銀行振込、口座振替[5]

まとめてみて気づいたことが二つあります。

一つは、3社ともメールアドレスを公開していないことです。連絡は電話が基本で、あとはWebのフォーム。耳が遠くなった人や、私のように「言った・言わない」を避けるため記録に残したい人には、メールで連絡できる窓口がほしいところです。

もう一つは支払方法です。町の案内には「自己負担額は委託業者が徴収する」とあるだけで、どう払うのかは書かれていません。調べると、ワタミの宅食では、町の配食サービスとして利用する場合はクレジットカードも口座振替も使えず、現金払いのみと公式サイトに明記されていました[3]。他の2社も現金が中心で、電子マネーやQRコード決済の記載は3社ともありません。

配食を頼むのは、買い物にも銀行にも行きにくくなった人です。その人に毎回小銭を用意させる仕組みは、少し酷ではないでしょうか。スーパーでもタクシーでもキャッシュレスが当たり前になった今、町の案内に支払方法を明記し、キャッシュレスの選択肢を業者と話し合ってほしいと思います。

町に尋ねた4つのこと

私が考えたのは「今は使わないが、いざという時にすぐ頼めるよう、登録だけ先に済ませておきたい」ということでした。そこで9月15日(火)、福祉課に次の4点をメールで問い合わせました。電話ではなくメールにしたのは、やり取りを記録に残しておきたかったからです。

  1. 当面は利用予定がないが、利用登録だけ先に行えるか
  2. 夫婦とも65歳以上。妻と私それぞれ登録できるか
  3. 申請書は郵送で提出できるか。添付書類は何か
  4. 登録後、利用開始時は業者へ直接注文すればよいか、福祉課への連絡が要るか

届いた回答

回答が届いたのは9月28日(月)の夕方、送信から13日後でした。要旨は次のとおりです。

  1. 登録のみ:利用する際に登録してほしい
  2. 夫婦それぞれ:それぞれ登録できる
  3. 郵送:原則、窓口で提出。聞き取りが必要
  4. 開始時:申請書に配食メニューと希望回数を記入して提出し、その後、委託業者と打ち合わせて配食開始

丁寧な文面で、質問にはすべて答えていただきました。そのことにはまず感謝したいと思います。

回答から見えた、制度の「すき間」

ただ、回答を読んで考え込んでしまいました。

私が想定していたのは「介護者が急に倒れたとき」です。ところが回答によれば、利用するときになって初めて、窓口に出向いて聞き取りを受け、申請書を出し、そのあと業者と打ち合わせるという流れになります。

わが家から役場までは、クルマでなければ行けない距離です。そもそも、窓口まで出かけられない状態になったからこそ配食を頼みたいのです。倒れて台所に立てない人が、クルマを運転して役場へ行けるでしょうか。本当に必要な人ほど、手続きにたどり着けない――ここに制度の「すき間」があると感じました。

さらに、業者側でも注文から最初の配達までには日数がかかります。たとえばワタミの宅食は、水曜までの申込なら翌週月曜から、木曜以降は開始希望日の2日前17時まで(土日祝を除く)と価格表の注記にあります[2]。配食サービスは「倒れたその日」の備えにはなりません。倒れた直後はケアマネジャーに相談して訪問介護(調理の援助)を入れてもらい、配食は数日後からの支えとして考えるのが現実的です。

町の側にも事情はあるでしょう。聞き取りで食事の形態や見守りの必要性を確認したい、使わない登録で台帳が膨らむのを避けたい、といった理由は理解できます。それでも、「聞き取りは電話か訪問で事前に済ませ、利用開始は電話一本で」という仕組みがあれば、介護者が一人しかいない家庭の安心はずいぶん違うはずです。

申請書がWordファイルであること

もう一点、手続きの入口について。町のサイトに置かれている「三芳町配食サービス事業利用登録申請書」は、Microsoft Wordの形式(.docx)です[1]。

Wordはパソコンに専用のソフトがあることを前提にした形式です。スマートフォンやタブレットしか持たない高齢者には開くこと自体が難しく、結局は印刷して手書きし、窓口へ持っていくことになります。形式が「電子」でも、手続きは紙のままです。

国は「行政手続はデジタルで完結させる」という方針を掲げ、紙や対面を前提とした手続きの見直しを進めています[6]。町でも、スマホのブラウザからそのまま入力できるWebフォームや、誰でも開けるGoogleドキュメントなどに切り替えれば、窓口に行けない人も申し込めるようになります。聞き取りが必要なら、入力内容をもとに電話で確認すれば足りるはずです。

メールの返信について――受益者として、率直に

制度とは別に、返信そのものについても感じたことがあります。

回答までの13日間には、敬老の日と秋分の日を含む連休がありました。開庁日で数えれば6日ほどです。福祉課にとって9月が忙しい時期であることも想像できます。それを差し引いても、4つの質問に短く答える返信にこれだけの日数がかかることには、正直なところ物足りなさを覚えました。

また返信文には、申請書の名称が「配色サービス」となっている誤変換がありました。名乗りは姓のみで、署名欄も課の連絡先だけ。どなたが責任をもって回答したのかが、文面からは読み取りにくい形です。

細かいことを言うようですが、行政からのメールは住民にとって「記録」です。後日「あのとき、こう回答をもらった」と確認する拠り所になります。だからこそ、正確さと、誰が答えたかの明確さは大切だと考えます。

ここで申し上げたいのは、担当の方を責めることではありません。仕組みの問題です。

  • 誤変換の確認は、今の生成AI(人工知能)に文面を読ませれば数秒で済みます。
  • よくある質問への回答案づくりも、制度の資料をもとにAIが下書きし、職員が確認して送る形にすれば、返信までの時間は大きく縮まります。
  • 署名の定型化(担当者のフルネームと担当係)は、メールソフトの設定ひとつで実現できます。

私自身、一人で会社を経営しながら家のことをこなす中で、AIを日常的に使っています。書類の確認や文面の点検は、もう人がすべてを目で追う時代ではありません。職員の方の時間を、聞き取りや、本当に人の判断が要る場面に振り向けてほしい。納税者であり、制度の受益者でもある一住民としての、率直な願いです。

これから配食サービスを検討する方へ

  • 「いざという時」ではなく「動けるうち」に:登録には窓口での聞き取りが必要です。窓口に行けるうちに相談しておくほうが確実です。
  • 夫婦それぞれ登録できます:介護する側・される側の両方の分を考えておくと安心です。
  • 支払いは現金の用意を:町の配食として使う場合、現金払いが基本です。業者ごとに確認してください。
  • 倒れた直後の備えは別に用意する:ケアマネジャーの連絡先、訪問介護の臨時利用、冷凍食品の買い置きなど。
  • 問い合わせはメールも可:福祉課はメールで受け付けています。記録を残したい方にはおすすめです(ただし回答まで日数がかかることがあります)。

おわりに

配食サービスは、高齢者だけの世帯にとって「食事」と「見守り」を同時に支えてくれる、よい制度です。存在を知らない方にこそ、知っておいていただきたいと思います。

そのうえで、制度が本当に役立つのは「困ったその時」にすぐ使えることです。窓口に行けない人のための制度が、窓口に来ることを前提にしている――この矛盾を解くのは、難しいことではないはずです。電話やWebでの登録、キャッシュレスでの支払い、スマホで開ける申請書と価格表。どれも今ある技術で実現できます。

私は、窓口に行けない時だからこそこの制度を頼りにしたいと考えています。今回のやり取りが、町がより使いやすい仕組みを考えるきっかけになってくれればと願います。

三芳町 高齢者配食サービス
委託業者・価格一覧

町の公開資料(PDF・令和7年6月17日改定の価格)をスマートフォンで読みやすく整理した非公式のまとめです。2026年9月28日確認。

制度のあらまし

対象
65歳以上のひとり暮らし/高齢者のみの世帯/日中高齢者のみになる世帯
内容
昼食を自宅へ配達。配達時に安否確認
回数
町の補助は週3回まで(4回目以降は自費)
補助
1食300円(業者へ直接支払われる)
手続き
町福祉課の窓口で利用登録(聞き取りあり)→ 業者と打ち合わせ → 開始

表の太字の金額が、町の補助300円を差し引いた自己負担額(税込・1食)です。支払いは3社とも電子マネー・QRコード決済の記載がありません。

ワタミの宅食 埼玉ふじみ営業所

ワタミ株式会社/三芳町大字竹間沢167-1(町内)

0120-321-510
  • 配達月〜日(12/31〜1/3休み)
  • 注文水曜までの申込は翌週月曜から開始。木曜以降は開始希望日の2日前17時まで(土日祝を除く)。急ぐときは電話で相談
  • 中止お届け日の2日前17時までに電話(土日祝は受付不可)
  • 注意日曜分は前日の土曜に配達。手鞠・ダブル・小箱・おいしい健康は平日のみ(手鞠・ダブルの土日祝はまごころおかず、小箱の土日祝はまごころ御膳に替わる)
  • 支払町の配食サービス利用時は現金のみ(クレジットカード・口座振替は不可)
  • メールアドレスの公開なし。公式サイトに問い合わせフォームあり
メニュー定価自己負担
まごころ御膳主菜+副菜3種+ごはん730430
まごころおかず主菜+副菜4種740440
まごころ手鞠主菜+副菜3種600300
まごころダブル主菜2種+副菜3種820520
まごころ小箱惣菜4種+ごはん630330
ワタミdeおいしい健康カロリー・塩分調整食740440

宅配クック123 ふじみ店

株式会社シニアライフクリエイト/富士見市関沢2-13-48 OM第一ビル1F

049-268-1123
  • 配達週7日・曜日指定可(1/1〜1/3休み)
  • 中止前日までに連絡
  • 形態ごはん(普通・おかゆ)、おかず(普通・きざみ)を選べる
  • 支払毎回現金/月1〜2回の現金まとめ払い/月1回の振込/口座振替(一部店舗)
  • メールアドレスの公開なし。公式サイトにWeb注文窓口あり
メニューセット定価セット自己負担おかず自己負担
普通食毎日の支度が難しい方へ648348277
幸たんぱく食たんぱく質をしっかり摂りたい方へ686386316
健康ボリューム食量を楽しみたい方へ750450380
やわらか食・ムース食かむ力が弱った方へ847547477
カロリー・塩分調整食847547477
たんぱく・塩分調整食847547477
透析食847547477
消化にやさしい食消化器の術後・不調の方へ847547477

ライフデリ 所沢店

株式会社エリアネットワーク/所沢市和ケ原1-185 コーポみまさか105

0120-900-967
  • 配達週7日・曜日指定可(1/1〜1/3休み)
  • 注文配達日前日18時まで(同社サイト)。中止は前日まで
  • 形態ごはん(普通・おかゆ)、おかず(普通・きざみ)を選べる
  • 支払月末まとめ現金/銀行振込/口座振替
  • メールアドレスの公開なし。公式サイトに注文・問い合わせフォームあり
メニューセット定価セット自己負担おかず自己負担
普通食648348294
カロリー食860560480
透析食950650570
腎臓食940640560
ムース食おかゆセット760460380
やわらか食おかゆかご飯のセット830530450

出典

[1]三芳町「高齢者の配食サービス」https://www.town.saitama-miyoshi.lg.jp/health/koureisya/2012-0412-1550-45.html(2026年9月28日確認)
[2]三芳町「三芳町配食サービス 委託業者・価格表」(PDF、令和7年6月17日〜)https://www.town.saitama-miyoshi.lg.jp/health/koureisya/haisyokukakaku.pdf
[3]ワタミの宅食「お支払いについて」https://www.watami-takushoku.co.jp/contents/payment
[4]宅配クック123「注文方法」https://takuhaicook123.jp/about/order
[5]ライフデリ所沢店 https://lifedeli.jp/s-tokorozawa.html
[6]デジタル庁「行政手続のデジタル完結に向けた工程表」(2023年12月20日)https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/34a225ed-03be-4408-b00d-f9b88a5a2543/c432e007/20231220_meeting_administrative_research_outline_01.pdf

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