自分が望む医療やケアについて、元気なうちから家族や信頼できる人と話し合っておく。「人生会議」は、そのための大切な取組である。三芳町が住民向けの講演会を開き、電話やFAXでも参加を申し込めるようにしていることには意味がある。だからこそ、その案内が、必要としている町民に読める形で届いているかを確かめたい。[1]
2026年9月30日、町の「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」のページを見て、私は疑問を感じた。小さなチラシ画像に情報を詰め込み、その下に短い開催案内を添える。この状態を、町民に十分な案内をしたと言えるのだろうか。
一納税者・町民として、このまま見逃すことはできない。ここは率直に指摘したい。町のホームページは、掲載したという事実だけでなく、町民が読んで理解し、申し込めるところまで整えてほしい。
確認できたこと――247×350ピクセルのチラシ
問題の場所は、ページ内の「住民向けACP講演会の開催について」という見出しの下である。確認したチラシは、画面上の表示が横247、縦350ピクセル。元の画像ファイルも同じ247×350ピクセルだった。画像を大きく開くためのリンクは付いていなかった。[1]
日時など比較的大きな文字は見えても、説明文や申込みに必要な細かな情報を、この小ささで読むのは困難である。元画像自体が小さいので、ブラウザーで拡大しても、失われた文字の細部を取り戻せるわけではない。
町のページにある「文字を大きくする」も試した。通常の文章の文字サイズは大きくなったが、チラシの表示寸法は247×350ピクセルのままだった。文字拡大の機能があっても、情報を画像の中に閉じ込めてしまうと、その助けが届かない。
講演会案内の文章には、開催することと、電話・FAX・電子申請で受付中であることが書かれている。しかし、日時、会場、参加費、定員、申込期限などは、読める本文として掲載されていない。「電子申請」と書きながら、講演会の申込先へ進む文字リンクも、この案内部分には見当たらなかった。ページ下部の問い合わせフォームを、講演会の申込フォームと同じものだと判断することはできない。[1]
この指摘は、2026年9月30日に確認した状態についての記録である。制作した人の事情、作業時間、確認体制は分からない。ここで問いたいのは、公開された案内の品質と、それを確かめる仕組みである。
代替テキストとは何か――画像が見えなくても情報を受け取れるようにする
ウェブページの普通の文章は、文字として保存されている。利用者は文字を拡大し、読み上げソフトで聞き、必要な部分をコピーできる。ところが、チラシを画像にした場合、その中の文字は基本的には「絵の一部」になる。画像を置いただけでは、同じように情報を利用できるとは限らない。
そこで必要になるのが、画像の内容や役割を文章で伝える「代替テキスト」である。HTMLというページの記述形式では、画像に付けるaltという項目などを使う。目で画面を見ることが難しい人が使うスクリーンリーダーは、こうした情報を音声などに変えて伝える。[3]
今回の画像の設定を確認すると、alt=""となっていた。項目そのものが存在しないのではなく、中身が空である。講演会の情報を伝える代替テキストは入っていない。[1]
空の代替テキストが、常に間違いというわけではない。飾りの画像や、同じ情報をすべて本文に掲載済みの画像では、重複した読み上げを避けるために空にすることがある。しかし、日時や申込み条件などの大切な情報をチラシだけに載せ、本文にも同等の情報を用意しないまま空にしてしまうと、その情報を受け取れない人が生じる。[3]
「講演会チラシ」という一言を入れれば済むわけでもない。それでは、チラシがあることしか伝わらない。長い案内では、画像に短い説明を付けたうえで、必要な内容を見出しや箇条書きを使った本文として示すのが分かりやすい。大切なのは、設定欄を埋めたかではなく、同じ情報が受け取れるかである。[5]
これは好みの問題ではない――町自身が掲げている制作方針
三芳町は、ホームページの制作方針で、次のように明記している。[2]
画像には、代替テキスト(alt属性)を入れる。
利用者が文字を自由に拡大・縮小できるようにすることや、操作するボタンやリンクを見やすく、使いやすくすることも、町の方針に含まれている。情報を画像だけに載せる今回の作りは、こうした町自身の方針を、実際の掲載作業で十分に実現できていない。[2]
国際的な基準であるWCAG(Web Content Accessibility Guidelines:ウェブコンテンツのアクセシビリティに関する指針)の達成基準1.1.1は、画像などの文字以外の情報に、同じ目的を果たす文字による代替を求めている。今回のように、情報を持つ画像の代替テキストが空で、本文にも同等の情報がない状態は、この基本要件に沿っていないと評価する。[3]
達成基準1.4.5も、文字で表現できる情報は、原則として文字の画像ではなく、文字で伝えることを求めている。チラシ画像を残しながら、同じ内容を読める本文にも掲載する方法が案内されている。画像の大きさを変えるだけでは、読み上げや文字の表示調整まで解決できない。[4]
国内ではJIS X 8341-3:2016というウェブアクセシビリティの規格が広く参照され、デジタル庁は初心者向けの導入ガイドブックも公開している。行政の広報担当者が、基礎から学べる資料は用意されている。なお、町の掲載方針と国際基準との不整合を指摘することと、個別の法令違反やサイト全体の規格不適合を断定することは区別する。この記事は当該案内を点検したもので、サイト全体の適合試験ではない。[6]
まず直してほしいことは、難しいことではない
私は健康増進課に、次の改善を求めたい。大規模なサイト改修を待つ必要はなく、今回のページから始められる。
- 必要事項を本文にする。日時、会場、対象、講演内容、参加費、定員、締切、申込方法、申込みに必要な情報、問い合わせ先を、画像を読まなくても分かるように載せる。
- 画像には役割に合った説明を付ける。本文に詳しい案内があることを分かるようにし、画像だけに重要情報を残さない。
- 見やすい資料を用意する。必要なら、十分な解像度のチラシや、文字を選択・読み上げできる資料を追加する。その資料だけに頼らず、本文の案内も維持する。
- 電子申請へ直接進めるようにする。講演会専用の正しい申込先を確認し、「人生会議講演会に申し込む」など、目的の分かる文字リンクにする。チラシ内のQRコードだけに任せない。
- 公開後の画面を点検する。パソコン、スマートフォン、文字拡大時の表示と、キーボード・読み上げによる利用を確かめる。作成者以外にも確認してもらう。
- 確認日と担当を残す。受付状況や終了後の扱いまで含め、古い案内が残らないようにする。電話・FAX・窓口の案内も、同じ最新情報にそろえる。
こうした基本を共通のひな型とチェック項目にすれば、担当者が替わっても引き継げる。町民が「この案内は読めません」と毎回申し出ることを前提にした運用から、掲載する側が先に確かめる運用へ進んでほしい。
この種の記事を作る仕事から、AIへの代替を検討してほしい
私は、今回のような講演会の案内を作る仕事について、AIに代替させられる部分を、町が具体的に検討し始めてほしいと考えている。DX(デジタル技術による業務・サービス改革)の基礎を整えながら、AX(AIを中心とする業務・サービス改革)に踏み出す、身近な題材である。
最初は原稿・文案の作成から始める。町が確認した開催要項を基に、AIに、住民向けの本文、短い概要、画像の代替テキスト案、申込案内、関係者への連絡文を起草させる。日時や費用などが足りない場合は、AIが埋め合わせず、「担当者に確認が必要」と示すようにする。
同じ開催情報から複数の案内を作れば、ウェブ本文、チラシ、メールで日付や申込先が食い違うことを減らせる可能性がある。ただし、AIは数字や固有名詞を誤ることがある。照合する正本を明確にし、職員が原資料と突き合わせることが欠かせない。
次に、サイトへの書き込みもAIに担わせる段階へ進む。最初はホームページ管理画面の下書きへ入力し、見出し、本文、リンク、画像の説明まで整える。担当者がプレビューを確認して公開する。十分な検証ができた作業から、承認済みの内容を掲載する工程も自動化する。更新前の内容を保存し、履歴と承認者を残し、誤りがあれば戻せるようにする。
最終点検は人間が行うことを必須としたい。担当者が事実、制度、リンク先、読みやすさを確認し、内容や影響に応じて上司など複数の人が確認する。給付条件、医療に関する説明、住民の権利に影響する案内では、特に慎重な確認が必要になる。公開されたページの品質に責任を持つのは、町である。
送る文書にも、受け取る文書にも、AIを通す仕組みを
町の担当者には、内部・外部へのメールや、通知、説明、回答など、多くの文書を発信する機会があるだろう。定型的な説明や文章の組立てをAIに任せ、職員は内容の確認と、町民ごとの事情を考えることに時間を使う。これを、ウェブ記事の作成と一緒に検討してほしい。
例えば、担当者が「誰に、何を、いつまでに伝えるか」と、根拠になる確認済みの情報を示せば、AIがメール文、通知文、やさしい言葉での説明を起草する。送信先、添付資料、期限、個人情報の扱いを人が点検し、重要なものは複数の人が確認してから発信する。
受け取ったメールや文書についても、まずAIで要点、期限、依頼事項、担当部署の候補を整理することを検討してほしい。簡単な内容なら、返信が必要かどうかの判断案を示し、必要な場合は返信文を起草する。職員が、白紙から文章を考え続ける負担を軽くできる可能性がある。
ここでは、AIが「返信不要」と判定しただけで、住民の問い合わせを黙って処理終了にしない仕組みが必要である。返信の要否は担当者が確認し、未処理の案件や回答期限が一覧で見えるようにする。緊急性のある相談、苦情、権利に関わる申請などは、人へ確実に引き継ぐ。判断が難しいものを、無理に自動処理へ押し込めない。
受信文書には、氏名、住所、健康情報などが含まれ得る。町が承認した環境で、閲覧権限、保存期間、学習への利用の有無などを確認し、扱ってよい文書の範囲を決める。一般向けの外部AIに、住民の相談をそのまま貼り付ける運用は避ける。最初の試行には、公開資料や、架空・匿名化した問い合わせ例を使う方法もある。
こうした作業が多い部署では、積み重ねによって大きな時間が生まれることを期待している。文章を書く負担や対応漏れへの不安が軽くなれば、職員に精神的なゆとりが生まれ、町民の話を丁寧に聞く余地も増えるのではないか。これは私の期待であり、実際の削減時間や効果の大きさは、試して測る必要がある。
小さく試し、成果を測り、町の仕事の仕方を変えていく
最初の試行として、健康増進課の公開済みの講座案内10件程度と、個人情報を含まない定型的な問い合わせ例を使い、4週間ほど比較してみてはどうだろうか。これは町の決定済みの計画ではなく、私からの提案である。
従来の方法とAIを使った方法で、起草から人の確認までの総時間、修正が必要だった箇所、日時・費用・申込先の誤り、案内事項の抜けを比べる。利用者が開催日時を見つけ、正しい申込先へ進めるかも確かめる。問い合わせ対応では、分類の誤り、返信要否の誤判定、担当者の確認時間、未処理案件の残り方を測る。
費用は、既存の管理機能で対応できる部分、職員の教育・確認時間、AI利用料、管理画面との連携費を分けて見積もる。確認作業まで含めて負担が減り、品質が改善した作業から段階的に広げる。AIを導入したという事実だけを成果にせず、町民への案内と職員の仕事が実際に良くなったかで判断したい。
町に求めたいのは、まず今回の案内を読める形に直し、同じ問題を繰り返さない手順を持つことである。そのうえで、AIが担える文章作成、掲載、文書の整理を着実に増やしてほしい。
町がこの問題を認識し、改善を確認できるまで、具体的な事実を示して根気強く働きかけていきたい。町民への案内を点検し、必要な修正を求め、直ったときはその対応も記録する。それを積み重ねることは、町のデジタル行政を、使えるものへ育てていくための小さな、しかし必要な一歩だと考えている。
参考資料・出典
以下は2026年9月30日確認。対象ページの表示と画像設定は同日のブラウザー実画面・ページ記述で確認した。本文中の評価とAI活用の進め方は筆者の提案であり、三芳町の実施状況を示すものではない。
- [1]三芳町「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」。三芳町。ページに公開・更新日の明示は確認できない。画像の表示寸法、元画像寸法、空のalt属性、本文・リンクを確認。
- [2]三芳町「三芳町ホームページ」内「三芳町ウェブ・アクセシビリティ・ガイドラインについて(概略)」。三芳町。公開・更新日の明示は確認できない。
- [3]「Understanding Success Criterion 1.1.1: Non-text Content(非テキストコンテンツ)」。W3C/WAI。WCAG 2.2の達成基準解説。
- [4]「Understanding Success Criterion 1.4.5: Images of Text(文字画像)」。W3C/WAI。WCAG 2.2の達成基準解説。画像と同じ情報を本文でも示す例を参照。
- [5]「Complex Images(情報量の多い画像の説明)」。W3C/WAI。Images Tutorial。短い説明と詳しい文字情報を組み合わせる考え方を参照。
- [6]「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」。デジタル庁。案内ページ最終更新日:2025年10月16日。行政職員等が基礎から学ぶ資料と、JIS X 8341-3:2016の位置付けを参照。
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