総会まで、あと5日です。
9月16日、私は理事会あてに「第2号議案に関する申入書」を提出し、この議案を現案のまま採決しないよう求めました。全文はすでに前回の記事で公開しています。
9月21日現在、受け取ったという連絡も、回答も、届いていません。
申入書は条文番号と頁番号が並ぶ、読みにくい文書です。議案書の比較表は31頁あります。そこで今回は、何が問題なのかを、できるだけ普段の言葉で書き直してみます。
1 私たちのマンションには「会議が二つ」あります
朝日センチュリーみずほ台は、A棟からF棟までの6棟が一つの敷地を共有する「団地」です。
そのため、いまの管理規約には会議が二つ定められています。
- 総会:敷地や集会室、全体の予算など、全員に関わることを決める会議
- 棟総会:その棟の建替えや、棟の規約に関わることなど、その棟の人だけで決める会議(規約第8章)
お金も同じです。修繕積立金は棟ごとに分けて管理する、と規約第26条に書かれています。
この「二階建て」の仕組みは、今回の改正案でも残ります。ここは誤解のないように、はっきり書いておきます。棟別の積立金がなくなるわけでも、棟総会が廃止されるわけでもありません。
2 では、何が問題なのか
今回の改訂の目的は、議案書46頁にこう書かれています。2026年4月に施行された改正区分所有法と「整合する規約に改める」。
この目的には、私も賛成です。
問題は、手本の選び方です。比較表(54頁〜)の左の欄を見てください。見出しは「マンション標準管理規約(単棟型)」です。建物が1棟だけのマンションのためのひな形です。国土交通省は同じ日に「団地型」も公表していますが、そちらは使われていません。
1棟のマンションには、棟総会がありません。だから単棟型のひな形には、棟総会の条文がありません。
その結果、次の3つが起きています。
(1)棟総会の決め方が、古い法律のまま残っています[議案書79〜80頁]
総会の特別決議は、改正法に合わせて「出席者の4分の3」に直されました(第45条)。
ところが棟総会の第68条は「現行の管理規約と同じ」、つまり「棟の区分所有者総数と議決権総数の各4分の3」のままです。
国土交通省は、総数を分母にする古い決め方は、改正法の施行後は法律に抵触して無効になると説明しています。議案書の47〜50頁に綴じ込まれているパンフレットにも、そう書いてあります。
「法律に合わせる」ための議案が、棟総会については法律に合っていない条文を残す。目的を半分しか果たしていないことになります。
(2)「棟で決めること」が、総会の条文に入り込んでいます[71〜72頁、79頁]
改正案の第45条には、建替えの決議や、迷惑行為をする人への訴えの提起などが、総会の決議事項として書き加えられました。単棟型のひな形をそのまま写したためです。
しかし第67条は、これらを棟総会で決めることだと定めています。第46条第2項は「第67条に掲げる事項は総会では決議できない」とまで書いています。そしてどちらの条文も「現行と同じ」で残ります。
可決されると、同じ規約の中に「総会で決める」と「総会では決められない」が並ぶことになります。
(3)いまある条文が、説明のないまま消えています[71〜72頁、46頁]
現行の第45条第4項は、ある棟の建物(外壁や屋上などの共用部分)の大きな修繕を総会で決めるとき、全体の多数決に加えて、その棟の人の出席と賛成を別に確かめる、というルールです。比較表の左の欄(単棟型のひな形)には、この項に当たるものがありません。当マンションの規約が置いている、費用を負担する棟の意思を確認する仕組みです。
改正案の第45条には、この項がありません。
同じく、規約の変更で特に不利益を受ける人の承諾を必要とする規定(現行第6項・第7項)、あらかじめ通知した事項しか決議できないという規定(現行第8項)も、改正案の欄に見当たりません。
削除するつもりなのか、書き漏らしたのか、議案書からは分かりません。46頁の「主なポイント」3点にも、一言も触れられていません。
3 私が言っていないこと
ここは正確にしておきます。
- 「この議案は違法だ」「可決されても全部無効だ」とは言っていません。申入書にも、単棟型を比較資料に使ったことだけで直ちに違法・無効になるわけではない、と明記しました。
- 法改正への対応に反対しているのでもありません。
- 総会そのものを延期せよ、とも言っていません。見合わせを求めているのは第2号議案だけです。
私は法律の専門家ではありません。だからこそ申入書では、団地の管理に詳しいマンション管理士と、弁護士による点検を求めています。
4 このまま可決されると、どうなるか
可決されれば、改正規約は総会当日の9月26日から効力を持ちます。
- 法律に抵触する部分は、規約に何と書いてあっても法律が優先します。つまり「規約に書いてあること」と「実際に従うべきこと」が食い違ったままになります。
- 矛盾した条文を直すには、もう一度、特別決議が必要です。
- 次に棟の工事でその棟の積立金を使うとき、その棟の賛否をどう確かめるのかが、はっきりしなくなります。
急いで決めて後で直す、というやり方は、規約については高くつきます。
5 理事会と管理会社にお願いしたこと
申入書で求めたのは、次の4点です。
- 第2号議案を現案のまま採決しないこと
- 団地型の標準管理規約を参照し、外部の専門家の点検を経た修正案を、改めて示すこと
- 9月23日までを目途に、議案の扱いとその理由を書面で回答し、全組合員に知らせること
- すでに提出された議決権行使書を、回答を見たうえで変更できるのか、その方法と期限を示すこと
比較表を作成したのは管理会社です。当マンションが団地であることを踏まえた資料を用意することは、管理を受託する専門業者の基本的な仕事だと考えます。作成と確認の経過についても、会社として書面で説明するよう求めています。
6 みなさんにお願いしたいこと
議案書を全部読む必要はありません。3か所だけ開いてみてください。
- 46頁 議案の説明。「主なポイント」は3点だけです。
- 71頁 まん中の欄(現行)の第45条第4項と、右の欄(改正案)を見比べてください。
- 79頁 左の欄が空白になっているところ。そこが棟総会の章です。
総会に出席される方は、この3点について理事会の説明を聞いたうえで判断していただければと思います。すでに議決権行使書を出された方で、考え直したいと思われた方は、変更ができるかどうかを管理センターに問い合わせてみてください。
私は、現案どおりの採決には反対であることを、書面で伝えました。総会の会場には出席しませんが、議決権は行使しています。
回答が届けば、その内容をそのままここに掲載します。届かなければ、届かなかったという事実を記録します。
(2026年9月21日)
上の記事は、改正案の「何が問題か」を書いたものです。この追記では、改正案が「どのようにして出てきたか」について、議案書・議事録などの記録から確認できる事実を、今後の記録としてまとめておきます。あわせて、私が6月30日に理事会へ提出した「管理規約の現代化と法改正対応に関する検証報告書」(以下「検証報告書」)と改正案との関係も記します。
1 時系列(理事会の記録から)
以下はすべて総会議案書に転載された理事会議事要旨および過去の総会資料に基づきます[1]。
| 2025年9月27日 | 第38期通常総会が第39期業務計画を承認。その(9)「管理規約改正」は次のとおり。
|
|---|---|
| 2025年10月25日 | 第2回理事会「区分所有法改正施行(2026年4月)に伴い管理規約改正の検討」と記録。 |
| 2025年12月20日 | 第4回理事会「改正区分所有法の施行(2026年4月)に伴い、新しい標準管理規約に準拠した管理規約に改めることとした。今後、理事会で検討をし、2026年9月の通常総会に上程する予定である」と記録。 |
| 2026年4月1日 | 改正区分所有法が施行。 |
| 2026年6月30日 | 検証報告書を理事会に提出。 |
| 2026年7月25日 | 第11回理事会「投書 6月30日〜7月21日に3件、内容を確認」と記録。同じ理事会で朝日管理株式会社から改正法および標準管理規約の変更点の説明を受け、「区分所有法の改正にともない現行規約の内容に矛盾する点が生じていることから、この部分の規約条文を改正することとした」と決定。 |
| 2026年9月5日 | 第12回理事会で総会議案が確定。 |
| 2026年9月10日 | 総会招集通知の発送。 |
| 2026年9月26日 | 第39期通常総会(予定)。 |
この時系列から、記録上、次のことが確認できます。
第一に、2025年12月20日の「今後、理事会で検討」との決定から2026年7月25日までの7か月間、議事録上に規約改正の検討の記載はありません。
第二に、7月25日の方針決定から9月5日の議案確定までは約6週間です。
第三に、12月20日の方針は「新しい標準管理規約に準拠した規約に改める」でしたが、7月25日の方針は「矛盾する点の規約条文を改正する」に範囲が縮小しています。
第四に、総会が承認した業務計画にあった「マンション管理評価制度で標準管理規約の準拠が加点となる条文」への対応は、改正案に含まれていません。また第39期の業務報告に、この業務計画(9)「管理規約改正」に対応する報告項目はありません(注)。
(注)「業務計画(9)」とは、2025年9月27日の第38期通常総会で承認された第39期(2025年度)業務計画のうち、9番目の項目「管理規約改正」を指します。上の表の冒頭に引用した文がその全文です。総会で承認された業務計画は、理事会がその期に行うと組合員に約束した事項であり、翌年の総会では業務報告として、各項目をどう実施したかが報告されるのが通例です。
2 改正案が手本とした標準管理規約
議案書に添付された管理規約対照表の左欄には、「マンション標準管理規約(単棟型)2025年10月17日 国土交通省発表」と明記されています[1]。
当マンションはA棟からF棟までの6棟・496戸で構成され、現行規約第2条第⑪号は棟総会を「区分所有法第3条の集会」と定義し、第8章(第63条〜第70条)に棟総会の規定を置いています。すなわち、標準管理規約の分類でいう団地型に当たります[2]。
国土交通省は2025年10月17日に、単棟型・団地型・複合用途型の三つの標準管理規約を同時に改正しています[3]。団地型の標準管理規約は、改正案の作成時点で利用可能でした。
私が提出した検証報告書は、その第1および第6において、当マンションが団地型であり、改正法が団地の管理・再生についても重要な改正を含むため単棟型より検討すべき論点が多いこと、および団地型を含む改正版標準管理規約が最良の手本となることを指摘していました。
3 単棟型を手本としたことによって改正案に生じている問題
以下は、改正案の条文と現行規約の条文を突き合わせて確認した内容です。上の記事で述べた3点を、条文に即して整理したものです。詳細は9月16日に理事会へ提出した申入書に記載しています[4]。
第一に、改正案第45条が新たに総会の決議事項として掲げる事項(区分所有法第58条〜第60条の訴えの提起、建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の復旧、建替え決議等のマンション再生に係る決議)は、現行第67条が棟総会の議決事項と定め、現行第46条第2項が「総会で決議することができない」と定めている事項です。第46条・第67条は改正されず「現行の管理規約と同じ」とされています。その結果、同一の事項について「総会では決議できない」という定めと「総会が決議する」という定めが、同じ規約の中に併存することになります。
第二に、棟総会の特別決議の要件を定める第68条第1項(「当該棟の区分所有者総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上」)は、改正案第45条第3項と同じ構造の全員基準の定めであり、改正法により効力を失っている部分です。改正案はこれを改めていません。同じ棟総会の規定のうち、招集手続(第64条第4項)の「5日間」は「7日間」に改められています。
第三に、現行第45条第6項・第7項・第8項(区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす場合の承諾、専有部分の使用に特別の影響を及ぼす場合の承諾、占有者の意見陳述)に相当する規定が、改正案から失われています。これらは改正法が維持している区分所有者保護の規定に対応する条文です。
第四に、改正案第45条第3項第一号「規約の制定、変更又は廃止」から、現行の「(第67条第①号の場合を除く。)」の括弧書きが失われています。他方、現行第46条④号の同じ括弧書きはそのまま残ります。
第五に、現行第45条第4項(棟別の決議方法)が改正案にありませんが、これを受ける第46条⑥号は改正されず残ります。
第六に、改正案第22条の2(理事長による損害賠償請求権等の代理行使。第3項で区分所有者個人による請求を制限)の新設、第45条第2項からの議長裁決権の削除、第45条第5項・第6項のマンション再生に係る決議の新設は、いずれも議案説明の「主なポイント」(3点)に記載がありません。
第七に、改正案第45条第3項が新設した特別決議の定足数(組合員総数の過半数かつ議決権総数の過半数の出席)についても、議案説明は「可決承認の条件が緩和されています」とするのみで、要件が加重された面に触れていません。
これらは、いずれも単棟型の条文を団地型の規約に当てはめる際に、棟総会との関係を整理しなかったことに由来するものです。
4 手順について
国土交通省が発行した改正パンフレットは、議案書47〜53頁に転載されています。そのQ3・A3は、規約改正にあたり事前の説明会の開催を推奨しています[1]。今回、説明会は開かれていません。
改正案の作成に管理会社がどのように関与したかについて、7月25日の理事会記録は、朝日管理株式会社が理事会に対し改正法と標準管理規約の変更点を説明したことを記しています。管理委託契約の重要事項説明書(2025年9月5日付)によれば、同社の管理事務には「理事長・理事会支援業務」(理事会の開催、運営支援、議事録案の作成等)および「総会支援業務」(総会招集通知及び議案書の配付等)が含まれています[5]。対照表および改正案の条文を誰が作成したかは、議案書にも理事会記録にも記載がありません。
5 専門業者の成果物として
改正法と標準管理規約の変更点を理事会に説明し、その理事会が改正案を確定して議案書として配布するまでの過程は、管理会社の理事会支援業務・総会支援業務の中で行われています。その過程において、物件が団地型か単棟型かは、条文の内容に立ち入る以前の、最初に確認すべき前提です。当マンションの規約は第2条で棟総会を定義し、第8章に棟総会の規定を置いています。管理業務主任者がこの規約を知らないということは考えにくく、対照表の見出しに「単棟型」と印字したものが496戸に配布されたことは、配布前の点検が行われていないことを示しています。
また、単棟型を手本としたこと自体よりも、その結果として特別決議の要件が規約内で矛盾することになる点が重大です。規約の変更は特別決議事項であり、一度可決した後に是正するには再び特別決議を要します。
管理会社による規約改正の作業で、条番号のずれや準用の漏れといった誤りが生じること自体は珍しくありません。しかし、物件の類型を取り違え、その結果として決議要件の矛盾が生じているものは、通常の誤記の範囲を超えていると考えます。
6 検証報告書との対応関係
6月30日の検証報告書の指摘事項と改正案の対応関係は次のとおりです。評価は加えず、対応の有無のみを記します。
| 検証報告書の項目 | 改正案での扱い | 備考 |
|---|---|---|
| 3-1 特別決議の出席者多数決化(第45条3項・第68条) | 一部対応 | 第45条は対応。第68条(棟総会)は未対応 |
| 3-2 特別決議の定足数(各過半数) | 対応 | 第45条第1項・第3項 |
| 3-3 緊急招集「5日間」(第41条6項・第64条4項) | 対応 | 第41条「1週間」、第64条「7日間」 |
| 3-4 全議案の「議案の要領」(第41条4項) | 対応 | 第41条第1項 |
| 3-5 所在等不明区分所有者の除外制度 | 未対応 | |
| 3-6 国外居住者の国内管理人 | 未対応 | |
| 3-7 損害賠償請求権等の代理行使 | 対応 | 第22条の2 新設。議案説明に記載なし |
| 4-1 WEB会議システム | 未対応 | |
| 4-2 置き配ルール | 未対応 | |
| 4-3 EV充電設備 | 未対応 | |
| 4-4 防災対応 | 未対応 | |
| 4-5 再生手法の多様化・バリアフリー緩和 | 対応 | 第45条第4〜6項。ただし棟総会(第67条)との整理なし |
| 5-1 議長裁決権の削除 | 対応 | 第45条第2項。議案説明に記載なし |
| 5-2 第三者管理・外部専門家 | 未対応 | |
| 5-3 ペット飼育 | 未対応 | |
| 5-4 遅延損害金18% | 変更不要 | 報告書の結論と一致 |
| 5-5 押印・電磁的方法 | 未対応 | |
| 第6 団地型標準管理規約を手本とすること | 未対応 | 単棟型を手本とした |
私が提出した検証報告書に対する理事会からの回答は、本稿執筆時点(9月22日)でありません。9月16日提出の申入書に対する回答もありません。
7 改正案が現案のまま可決された場合
上の記事の第4節と重なりますが、簡潔に記します。
改正規約は総会当日(9月26日)に発効する予定です。可決されれば、第3に述べた矛盾と欠落を含んだ規約が、そのまま当マンションの規約になります。
矛盾を是正するには、再び総会の特別決議(組合員総数・議決権総数の各過半数の出席と、出席者の各4分の3以上の賛成)が必要です。臨時総会を開くか、次期(第40期)通常総会まで待つことになります。
是正されるまでの間、棟総会の専属事項と総会の決議事項が重複した状態が続きます。この状態で当該事項について決議が行われた場合、どちらの規定が優先するかを規約の文面から確定できません。また、第68条は改正法に抵触したまま残ります。
第40期の業務計画に管理規約改正の項目はありません。可決後の是正を誰が、いつ行うかは、現時点で議案書のどこにも示されていません。
出典
[1] 2025年度(第39期)朝日センチュリーみずほ台管理組合通常総会議案書(第1号議案 理事会議事要旨、第2号議案、管理規約対照表、国土交通省パンフレット転載47〜53頁)/2024年度(第38期)通常総会議案書 第6号議案
[2] 朝日センチュリーみずほ台管理組合 管理規約(2019年9月29日改正)第2条、第45条、第46条、第63条〜第70条
[3] 国土交通省「マンション標準管理規約」(2025年10月17日改正)
[4] 第2号議案「管理規約改訂の件」に関する申入書(本文・付帯、2026年9月16日提出)
[5] 朝日管理株式会社「重要事項説明書」(2025年9月5日付)4 管理事務の内容及び実施方法 ⑤その他の管理事務
[6] 前田利人「管理規約の現代化と法改正対応に関する検証報告書」(2026年6月30日、理事会あて提出)
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